ブックレビュー
和田秀樹著「本当の人生 人生後半は思い通りに生きる」(PHP新書)
和田秀樹著「本当の人生」はどんな本か?
和田秀樹著『本当の人生 人生後半は思い通りに生きる』は、
人生後半をより豊かに、自分らしく生きるための指針を示す一冊です。
特に、自分の生き方や死に方を自分で決めることの重要性を強調していますよ。
この本の中で紹介されている82歳の男性のエピソードは、まさにその考え方を体現。
彼は、肺がんが発見された後、医者の指示に従わずに、自分の意志でタバコを再開し、好きなものを食べ、結果的に10年もの間、元気に生き続けました。
医者のアドバイスを無視した結果、自己決定による長生きが実現したと言えるでしょう。
82歳の男性のエピソードとは?
男性は、82歳のときにたまたま撮った胸のレントゲンで肺がんが見つかりました。
精密検査を受けると、診断は確定し、転移もあったのです。
年齢も考慮し、医者は手術をしないで自宅療養をすすめました。
すると、家族は肺がんの原因になったと思われるタバコを取り上げました。
彼はがんだとわかり、がっかりし、たばこも吸えず、落ち込みました。
1か月ほどうつ状態でした。
どうせ死ぬんだし、
タバコのせいでこれ以上肺がんが悪くなることはない、と開き直り、
喫煙を再開。
すると、どうでしょう。
元気を取り戻し、食欲もアップ。
がんは治らなくても、甘いもの辛い物も好き放題食べたのです。
それから10年後、92歳で亡くなりました。
医者の話を聞かず、自らの意志で自己決定し、長生きしたとも言えますね。
「かくあるべし」という思考から解放されることが、本当の人生を生きるために重要だとも説いています。お酒やタバコをやめるかどうかも、自分自身の意志で決めるべきだと述べ、本音で生きることこそが「自己決定」の真髄だと主張しているのです。
「『かくあるべし思考』から楽になって、行きたいように生きるというのも、本当の人生にとって大切なことなのです。」
お酒をやめるとか、タバコをやめるとかも、自分で決めていいこと。
本当の人生における自己決定というのは、自分が本音で生きたいように生きる自己決定なのです。
ダメな自分を受け入れることも重要!
さらに、欠点と思い込んでいる「ダメな自分」を受け入れることも重要なポイントのようですね。
著者は、「本当の自分で生きたい」と思い、自分の欠点を否定せず、自分を好きになることをすすめています。
「本当の自分で生きたい、そう思って、ちょっとダメな自分を決して否定せずに、ぜひ自分を好きになってください。」
また、人間関係においても、ストレスを感じる付き合いはやめても良いと述べ、さらには「つかずはなれず婚」や別居も選択肢の一つとして提示しています。
人生には限りがあるため、「動けなくなる前に自分のやりたいことをやる」ことも強調されています。今を楽しむことの大切さを訴え、「後にとっておく意味がなくなる」と警鐘を鳴らしているのです。
特に、貯金をし続けることや、今を我慢することが必ずしも将来の幸福につながるわけではない、と指摘。
動けなくなる前に自分のやりたいことをやる、ということです。
「今がまんする」のではなく、「今を楽しむ」のです。
なるほど、納得です。
今頑張って貯金をしていたら、後でいいことがあるのか、だんだん成り立たなくなっているし、明日、脳梗塞で倒れるかもしれませんからね。
「人生には限りがあるので、自分のやりたいことはできる間にやらないと後悔が残るのではないかということです。」
最後に、著者は「アリとキリギリス」の童話に触れ、現代社会では、勤勉なアリよりも、遊び心を持つキリギリスの方が豊かな人生を送る可能性があると示唆していますよ。
物質的な豊かさがある現代では、無理に我慢するのではなく、自分の欲求や楽しみを大切にすることが、人生後半の充実に繋がるというメッセージを伝えているんですね。
「アリとキリギリスは、日本人の好きな童話の一つでしょう。かなり残酷な話です。勤勉なアリは冬場になっても、蓄えがあるので幸せに乗り切れるのに、遊んでばかりいたキリギリスは、冬場に飢えてアリに助けを乞うが、相手にされず死んでしまうという話です。
でも、現在のように消費不足、生産性過剰の時代であれば、働き者のアリは一生楽しみを知らずに死ぬということになるでしょうし、遊び人のキリギリスは、冬になってももの余りのために一生贅沢ができるということになるはずです。」
まとめ
この本は、人生の後半をどう生きるかに悩む人々にとって、非常に有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。筆者にとっても、すごく参考になりましたね。
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