皆さん、こんにちは!
「読書虫」ブックレビューのお時間です。
ヘミングウェイ著「老人と海」(新潮文庫)
なんだ、古い本やな、と言わないでくださいね。
どうしても再読したくて、最近読了しました。
実際、かなり古い本です。発表は1952年ですから。
本棚から引っ張り出し、もう一度、読んでみたのです。
解説は訳者の福田恒在氏が書いています。
読者は綿密にかれの行動をたどることによって――ギリシャ悲劇を読んだときのように―ー生理的、心理的、倫理的なカタルシスを感じ、読み終ったあとで心身の爽快さをおぼえるでありましょう。
再読してよかった。
文章や物語の展開について、随分と参考になりました。参考になるというのは自ら小説を書くときにとても役立つと思ったからです。
「老人と海」老人がカジキマグロと格闘する物語
文庫本の解説にはこうあります。
キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく……。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。
アーネスト・ヘミングウェイは、アメリカ出身の小説家です。従軍経験を基にした『武器よさらば』『誰がために鐘は鳴る』などが有名です。晩年は飛行機事故の後遺症による精神疾患に悩まされ、1961年に猟銃自殺をしました。1952年に出版された『老人と海』はピューリッツァー賞を受賞。また、著者がノーベル文学賞を受賞したのは、この作品の評価からだといわれています。
「老人と海」あらすじ、結末、感想は?
老人は自らを慕う少年に見送られ、早朝の暗がりの中、ひとり小舟で海に漕ぎだします。かつては腕利きの漁師として名を馳せていましたが、不漁が84日にもわたり、「運に見放された」と漁師仲間の笑いものにされていたのです。しかし、老人には悲壮感の欠片もない。今朝もライオンの夢を見て目覚めたからです。
太陽が昇って2時間が過ぎた頃、ついに18フィート(5m超)もの巨大なカジキマグロがかかります。カジキとの戦いは4日にも及びました。流血を伴う負傷をし、疲労で気を失いかけながらも老人は決して網を離しません。
そして、ついに力尽き浮上したカジキに銛を突き立て、仕留めることに成功。仕留めた大魚を舷側に括りつけ、帰路に就きます。
だが、途中で、大魚の血の匂いを嗅ぎつけたサメが次々と襲撃してきたのです。
銛やらナイフやら持てる武器を全て失ってまで戦う老人。サメに食い千切られていく大魚。最後は舵棒すら武器にします。
なんと、港に着く頃にはカジキマグロは骨を残すのみとなっていました。老人は小屋まで這いずり、ベッドに倒れ込み眠りにつくのです。
最後にまたライオンの夢を見ます。
ライオンの夢で終わるのですね。印象的な終わり方です。確かにカタルシスを感じます。躍動感に溢れた素晴らしい文章ですよ。老人と少年が最後は海に一緒に行って漁をして欲しいと思いましたが、そういうシーンはありませんでしたね。
「老人と海」は映画化にもなっています。
まとめ
名作「老人と海」を再読。古い本ですが、今でも充分に読みごたえがあります。カジキマグロとの戦いの描写も生き生きとしていますが、サメとの戦いもど迫力。おすすめです。
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