朝比奈秋著「サンショウウオの四十九日」(芥川賞受賞作)感想と考察、医者の書いた奇譚小説か?

ブックレビュー

皆さま、こんにちは。
本日は第171回芥川賞受賞作「サンショウウオの四十九日」を取り上げます。

著者は朝比奈秋氏です。

同じ身体を生きる姉妹、その驚きに満ちた普通の人生を描く、芥川賞受賞作。
周りからは一人に見える。でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。不思議なことはなにもない。
けれど姉妹は考える、隣のあなたは誰なのか? そして今これを考えているのは誰なのか――三島賞受賞作『植物少女』の衝撃再び。
最も注目される作家が医師としての経験と驚異の想像力で人生の普遍を描く、世界が初めて出会う物語。
(本の紹介文から)

著者のプロフィールも紹介しておきましょう。

朝比奈秋】(あさひなあき)

1981年京都府生まれ。医師として勤務しながら小説を執筆し、2021年、「塩の道」で第7回林芙美子文学賞を受賞しデビュー。
2023年、「植物少女」で第36回三島由紀夫賞を受賞。同年、「あなたの燃える左手で」で第51回泉鏡花文学賞と第45回野間文芸新人賞を受賞。
本作で第171回芥川賞受賞。

「サンショウウオの四十九日」感想と考察、医者の書いた奇譚小説か?

書き出し

コタツにはいったまま見送るわけにもいかず、ポールハンガーからコートを取って羽織る。リビングを一歩踏み出すと、廊下はつまさきの骨が割れそうなほど冷たい。玄関では五分で薄化粧をした母が、かかとの潰れたスニーカーに足を通している。屈んだ母の丸い背中の向こうに、入ってくるときに気づかなかった丈の低いパンジーが塀に沿って紫色に群生しているのが見えた。(以下略)

小説は書き出しが大事なのは自明の理ですが、これ、かなり巧みな文章でしょう。

「廊下はつまさきの骨が割れそうなほど冷たい。」
こんな一文はなかなか思いつきません。
普通なら(筆者なら)、「廊下はつまさきが凍りそうなほど冷たい」なんて書いちゃいますね。

「玄関では五分で薄化粧をした母」とあって、五分という表現がミソ。
かかとの潰れたスニーカーといった細かい表現も巧みだし、「丈の低いパンジー」の群生も、見事ですね。

はっきり言って、このような表現はChatGPTにはとてもできません。

ブックレビューを読むと、「面白く読めた」という感想がある一方で、
「読みだしてすぐ違和感を覚えた」や「個人的には肌に合わなかった物語」など、疑問を呈する感想も多いです。

ちなみに筆者は面白く読めましたけど。

それにしても、胎児内胎児や特殊な結合双生児を扱った小説なので、
こんな結合双生児がいるのかと思いましたが、現実的にはいないようですね。
(結合双生児なのですが、頭部はわかれていませんから)。

読んでいて、ベトちゃんドクちゃんを思い出しましたが、本文にもしっかりそのことは出てきますよ。

まあ、最後まで興味深く読みました。
奇譚小説とも言えます。
現役医師だから書けたのでしょうか。
この特殊な設定はだれも真似ができませんね。

それと、タイトル。
このタイトルだけを見て、最初はサンショウウオの四十九日の物語かと思っちゃいましたよ。

本文にサンショウウオの話が出てくるので、タイトルの意味もなんとなくわかりましたが、
凝ったタイトルでしょう。

内容に加え、文章が凄いね。
そんな印象を持ちました。

まとめ

感想は素晴らしいの一語に尽きますが、正直、どんな物語なのか、と聞かれると、答えられません。結合双生児の話ですが、理解しにくいですね。直木賞と違って芥川賞は純文学ですから。

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