皆さん、こんにちは!
本日はブックレビューです。
ブックレビュー
やなせたかし著
「十二の真珠」(復刊ドットコム)
この本は、やなせたかしさんが93歳のとき、復刊になった作品です。
元は1970年、サンリオ社から出版された「十二の真珠」ですが、幾度かの版を重ねたあと、絶版になっていたのです。
本書には元祖アンパンマンが登場します。
なんと、最初のアンパンマンは空飛ぶ太めのおじさんで、子どもたちのためにアンパンを配っていたのです。そんなふうに描かれていますよ。
詳しく見てみましょう。
元祖「アンパンマン」最初は空飛ぶおじさんだった!
本書には12話が収録されています。
・バラの花とジョー
・クシャラ姫
・天使チオバラニ
・チリンの鈴
・アンナ・カバレリイナのはないき
・アンパンマン
・星の絵
・風の歌
・デングリ蛙とラスト蛇
・ジャンボとバルー
・キュラキュラの血
・十二の真珠
この中で表題になっている「アンパンマン」がアンパンマンの原点の童話です。
「こげ茶色のマントに身体をつつんだ怪傑アンパンマン。いつもほほえみながら、飢えた子供のために世界の果てまで飛ぶ。」
このような解説がついています。
元祖アンパンマンとは?
そしてどんなアンパンだったかと言うと……。
「全身こげ茶色で、それにひどくふとっていました。顔はまるくて、目はちいさく、はなはだんごばなで、ふくれたほっぺたはピカピカ光っていました。たしかにマントをひろげて鳥のようにとんではいましたが、なんだかおもそうでヨタヨタしていました。」(本文より)
なんともブサイクなんですね。このアンパンマンがまさに元祖。今のアンパンマンとはまったく違います。
元祖アンパンマン
この元祖アンパンマンはアンパンを配るだけで、顔を削ったりもしません。だって人間のおじさんですから。
飢えた子どもにアンパンを配るわけですが、スーパーマンのようなヒーローとはほど遠いので、子どもたちからもバカにされます。
あるとき、戦争が続いている国があって、アンパンマンは空を飛んで向かいます。というのも、ほんの数人の子どもたちが何も食べるものがなく、死にそうだったからです。
アンパンマンは空からアンパンを落としました。
「そのとき、ドヒューンという音がしてアンパンマンの胸のあたりに、白いけむりがあがりました。飛行機とまちがえた高射砲陣地が火をふいたのです」
高射砲陣地とは航空機による攻撃から守るための地上の施設。高射砲が設置されています。
さあ、アンパンマンはどうなったのか。
作者はこう書いています。(ネタバレ)
「決して死にはしないでしょう。世界じゅうのおなかのすいた子どもたちのために、アンパンマンは今もとびつづけているはずです。」
うまく処理していますね。
以上が、元祖アンパンマンのお話です。
珠玉の12話収録
12話の中で筆者が個人的に好きなのは、「チリンの鈴」。
物語は首に金色の鈴をつけた子羊のチリンが主人公。牧場で羊の群れの中で幸せに暮らしていました。
ところがある日、凶暴なオオカミに襲われ、羊たちはすべて殺されてしまうのです。チリンの母も父も死んでしまいます。穴に隠れていたチリンだけが生き残ったのです。
チリンは復讐を誓います。
どうするか?
なんと、オオカミに弟子入りするのです。
長い年月を経て、最後は目的を達成します。
そんな物語ですよ。
他にも珠玉の短編が収録されています。
興味のある方はぜひ読んでくださいね。
やなせたかしさんの原点がここにあります。
まとめ
今回はやなせたかし著「十二の真珠」を取り上げました。童話集です。文章は子ども向けですが、内容は大人向けとも言えますね。けっこうおもしろいですよ!
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