福田ますみ著「でっちあげ」映画化!殺人教師と呼ばれた男の冤罪事件とは?ネタバレ

ブックレビュー

ブックレビュー
福田ますみ著「でっちあげ」(新潮文庫)

皆さん、こんにちは。
3日に1回くらいは、ぶらっと本屋に立ち寄っています。本が好きなんですね。
そんな中、先日購入したのが、この「でっちあげ」です。
実話を描いたノンフィクションで、しかも映画化。
文章も巧みだし、しかも読みやすいです。

 

【文庫本解説】

「早く死ね、自分で死ね。」2003年、全国で初めて「教師によるいじめ」と認定される体罰事件が福岡で起きた。地元の新聞報道をきっかけに、担当教諭は『史上最悪の殺人教師』と呼ばれ、停職処分になる。児童側はさらに民事裁判を起こし、舞台は法廷へ。正義の鉄槌が下るはずだったが、待ち受けていたのは予想だにしない展開と、驚愕の事実であった。第六回新潮ドキュメント賞受賞。

 

ネタバレ含みますが、内容を見ていきましょう。

福田ますみ著「でっちあげ」殺人教師と呼ばれた男の冤罪事件とは?

一読して著者の取材力に驚かされます。
よくこれだけ根気よく調べたものだな、というのが感想でもあります。同時にこんな「でっちあげ」がまかり通っていたとは…。

いわば1人の小学校教諭がマスコミ報道によって「殺人教師」につくり上げられていったのです。

いや~、恐ろしい。
マスコミ報道の恐ろしさも、この本ではよくわかりますよ。

以下、書き出し。

序章 「史上最悪の殺人教師」
火付け役は朝日新聞である。平成15年6月27日の西部本社版に、「小4の母『曾祖父は米国人』 教諭、直後からいじめ」という大きな見出しが踊った。そのショッキングな内容に地元のあらゆるマスコミが後追い取材に走ったが、その時点ではまだ、単なるローカルニュースに留まっていた。
これを一気に全国区にのし上げたのは、同年10月9日号の「週刊文春」である。「『死に方教えたろうか』と教え子を恫喝した史上最悪の『殺人教師』」。目を剥くようなタイトルと教師の実名を挙げての報道に全国ネットのワイドショーが一斉に飛びつき、連日、報道合戦を繰り広げる騒ぎとなった。
一体、「史上最悪の殺人教師」と名指しされたのはいかなる教師か。教え子を取り殺す悪鬼のような人物だろうか。実際、彼がしでかしたとされることは、極悪非道、悪魔にも等しい所業である。

最初は名前も隠されていましたが、『週刊文春』が実名報道し、目線入りの顔写真までのっけたのです。

最終的には裁判で「冤罪」が証明されたわけですから、ご本人にとってはこれはよほどショックだったでしょうね。

「でっちあげ」映画化!

主演は綾野剛、共演に柴咲コウ。三池崇史監督作品です。
それにしても、映画の内容は、誰にとっても他人事ではないでしょう。
真面目に、健気に、誠実に生きてきた人ほど、ある意味で事件に巻き込まれることがあるのかもしれません。
「加害者」にもなり得るし、同時に「被害者」にもなり得るという現実。そんな問題を考えさせられますよ。

でっちあげ!
世の中には知られていない「でっちあげ」がおそらくたくさんあるのでしょうね。

福田ますみ
1956年(昭和31年)神奈川県横浜市生まれ。立教大学社会学部卒業後、専門誌業界、編集プロダクションを経て、フリーライターに。犯罪、ロシアなどをテーマに取材、執筆活動を行っている。『正論』や『新潮45』や『Hanada』などの雑誌記事を多く手がけ、単行本も執筆。全国報道された「教師によるいじめ」の事例での福岡で起きたモンスターペアレントによるでっち上げ疑惑を取り上げた、『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』で、2007年に第6回「新潮ドキュメント賞」を受賞。

まとめ

この本はおもしろかったです。実話だということがさらに興味深いです。新聞も週刊誌も、事件を「書きっぱなし」で、真相がわかっても、後追い取材はほとんどせず。有田芳生さんも解説で「メディアの欺瞞を描いた傑作」と綴っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました